a. 中心静脈カテーテルの挿入時の感染を予防するためにはマキシマル・バリアプリコーションの遵守が必要である。マキシマル・バリアプリコーションでは帽子、マスク、滅菌ガウン、滅菌手袋、大きな滅菌ドレープなどを用いるが、標準予防策(滅菌手袋や小さなドレープなどを用いる)と比較するとカテーテル関連血流感染の頻度を減少させることができる。カテーテルの緊急挿入時のように無菌テクニックの遵守が保証されない場合では48 時間以内にカテーテルを交換する必要がある。
b. CV挿入に際して以下の合併症が考えられる。(動脈穿刺・気胸・胸腔内輸液・空気塞栓・カテーテルの静脈内残留・カテーテル感染・血栓・血胸・縦隔血腫・乳び胸・腕神経叢損傷・不整脈)これらに対してインフォームド・コンセントをとる必要がある。
c. 中心静脈カテーテルを定期的に交換してもカテーテル関連血流感染の感染率は低下しない。7 日毎の交換と必要時の交換を比較した研究が2 件あるが、カテーテル関連血流感染についての差はみられなかった。
したがって、感染の頻度を減らす目的だけのために中心静脈カテーテルをルチーンに交換する必要はない。但し、不要となった血管内カテーテルは迅速に抜去しなければならない。
http://hica.jp/cdcguideline/guide/exchange.htmをご覧ください。CDCのガイドラインでは、小児は全てのカテーテルにおいてルーチンの交換は不要、成人でも末梢ルートは72~96時間で交換する以外は、CVも含めてルーチン交換は不要としています。
d. ここに非常によくまとまっています。http://www.hosp.med.osaka-u.ac.jp/home/sotsugo/med/pdf/200309.pdf
カテーテル感染予防の基本は、「closed systemの堅持」です。
●高カロリー輸液の無菌調製
輸液の混合は、理想的には中央薬剤室において専任薬剤師が無菌室やクリーンベンチを使用して完全な無菌操作下に混合を行うべきである。クリーンベンチのない病棟での調製は極力行わず、可能な限りダブルバッグまたはワンバッグのキット製剤の高カロリー輸液を用いる。また病棟で追加混合する薬剤数と混合回数を可能な限り最少化し、プレフィルドシリンジ製剤を用いて、汚染の機会を積極的に減らす努力が必要である。
●病棟における薬剤混合法
ビタミン剤と微量元素製剤は、プレフィルドシリンジ製剤を用いる。最近ビタミン剤がバッグ内に添付注入されてキット製剤が市販されている。
e. 挿入後は必ずX線写真を撮影し、カテーテルの位置の確認を行っておく。また、気胸などの合併症の確認も忘れずに行う。