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平成17年度救急科専門医試験
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創傷処置で正しいのはどれか。2つ選べ。
a. 汚染創内はポピドンヨードで消毒する。
b. 指趾の伝達麻酔薬には1%リドカイン(エピネフリン添加)を使用する。
c. 創洗浄に水道水を用いても感染症発症率は上昇しない。
d. 汚染創に対して第二世代セフェムを投与する。
e. 四肢のイヌ咬創では一次縫合閉鎖を行わない。

【 正解 】c,e

a.      創傷部の洗浄にポピヨンヨードを用いることに有効性は認められない。
また、過酸化水素水を用いて発泡させると肺空気塞栓を引き起こす危険性があり勧められない。

b.      指趾の伝達麻酔には0.5%~2%リドカイン(キシロカイン)を用いるが、エピネフリンは添加しない。
(禁忌)耳、指趾、陰茎、高血圧症、動脈硬化、心不全、甲状腺機能亢進症、糖尿病、血管痙攣のある患者、エピネフリン過敏症

c.       創洗浄に水道水・生理食塩水を用いても、感染症発症率に有意差はない。

d.      予防的抗菌薬の投与:(適応)広範な軟部組織挫滅を伴う創や土壌などで汚染された創、人あるいは獣咬創、人工物を治療に挿入した場合、など。
抗菌薬は、1世代セフェムあるいはペニシリンを用いる。嫌気性菌感染を疑う場合には、クリンダマイシンを用いる。

e.       咬創(傷)では、徹底的な洗浄・予防的抗菌薬投与・一次閉鎖禁忌である。
人咬創が最も感染率が高い。
猫咬創は好気性グラム陰性桿菌により受傷早期から蜂窩織炎を起こしやすい。
 
【一次閉鎖・一次治癒】清潔手術創・汚染のない切創・挫創であっても受傷後6~8時間以内に創が十分に洗浄されれば可能。48時間を越えた開放創は適応なし。

【二次閉鎖・二次治癒】汚染が強いものは開放創とする。肉芽形成⇒瘢痕収縮治癒する。拘縮する。

【遷延一次閉鎖・三次治癒】一次閉鎖をせずに創処置を続け、5日以内に縫合閉鎖するもの。
 
「一時的止血法」

a. 直接圧迫止血
b. 間接圧迫止血:出血部位より中枢側の動脈を圧迫して止血する。指圧法、緊縛法(エスマルヒ駆血帯を末梢から中枢側に巻き上げ、ターニケットで加圧する。緊縛時間は6090にとどめ、1015解除してまた駆血するのを繰り返す。

「永久的止血法」電気焼灼法、結紮止血、縫合止血、動脈塞栓術
 
デブリドマン:組織の挫滅・汚染の強い創、剥皮創、受傷後6~8時間以上経過している創 (禁忌)血管・神経・腱

○壊死組織の判定法:色調正常、圧迫後の退色速度が速い、新鮮出血がある。「ピンプリックテスト」「ターニケット法(加圧5分後の除圧で反応性発赤をおこせばよい)」
 
<<破傷風予防>>
皮下組織深部に達する汚染創に対して、破傷風トキソイド(0.5ml筋注、過去の接種歴に応じて1~3回)と抗破傷風免疫グロブリン(250U筋注
 
【代表的な縫合法】
     緊張のある部位には、水平マットレス縫合+結節縫合
創面を強く結ぶことができます。緊張のかかる部位であまり深くない場合に適します。創の表面の密着性が弱いため結節縫合追加が必要なこともあります。 

     創が深く、死腔を作りやすい部位には、垂直マットレス縫合か埋没縫合+結節縫合
垂直マットレス縫合緊張のかかる皮膚や深い創に適します。創面の密着性は高く、創が平面でない場合や厚さの異なる組織縫合にも有効です。浅層の縫合はできるだけ創縁に近いところで行うと創がきれいです。 
 
全層結節縫合
もっとも標準的な縫合です。
縫合糸は針付きモノフィラメントナイロンがよく使われています。
針を皮膚に対して直角に刺し皮下組織を丸く包むように運針して直角に抜くと、皮膚創面同士が密接に合います。

 
真皮縫合
皮下組織から真皮方向にかけて糸をかけて結ぶ方法で、糸が表面に出ません。いわゆる埋没皮下縫合です。抜糸が不要であり、創の外観もきれいです。ただし、縫合の労力と時間はかかります。通常の結節縫合の糸結びは創に直角の方向ですが、真皮縫合の糸結びは創に沿った方向に緊張が緩まないように締めます。また、組織の高さのズレを修正するために真皮縫合の前に皮下組織を縫合することもあります。
      
A.針を皮下組織から真皮にかけて縫います。
                        
B.対面する創面では針を真皮から皮下組織に向けて縫います。                            
C.糸を創方向に締めながら皮下で結紮します。    
D.糸を皮下で切って縫合を終了します。 皮膚表面にテープを貼ってきれいに合わせます。
 
     ごく浅く、緊張・挫滅のない創では、縫合時間短縮のため、連続縫合でもよい。ただし、途中で修正しにくく、1箇所切れるとすべて緩んでしまう点が問題である。
連続縫合連続縫合は1本の長い糸を連続して縫合する方法です。結節縫合よりも操作が簡単で糸の消費も少なくできます。しかし、部分抜糸ができないため感染時に不適です。また1カ所が切れると創全体が開く危険性があります。きつく締めると創縁がずれて密着しづらい欠点があります。
単純連続縫合(ブランケット法):操作が簡単ですが創面密着性は劣ります。連続かがり縫合:糸が創に直角に締まり創面の密着性があります。糸の緩みも防止できます。しかし抜糸時に時間がかかります。
  
【部位別創傷処置】
1.             轢過剥皮創
タイヤの回転力による皮下組織の離開にて皮下の血管が著しく損傷 ⇒ 皮下に血腫および融解した脂肪が貯留し感染源となる ⇒ 切開・開放し洗浄する。
 
2.             咬創(傷)
徹底的な洗浄が必要で、1次閉鎖は禁忌。抗生剤の予防投与も必要。ヒト咬創が最も感染率が高い。ネコは好気性グラム陰性桿菌により蜂窩織炎になりやすい。
 
3.             頭皮部
血流が豊富なことから、出血量が多く、圧迫止血が無効である。剃毛後に洗浄して2-0あるいは3-0の太いナイロン糸にて結節縫合を行う。
 
4.  顔面部
出血量は多いが、圧迫止血が有効である。標識点である眉毛・眼瞼縁・口唇縁・鼻翼などに段差やズレが生じないように、そこから縫合を始める。5-0、6-0などの細い針付きナイロン糸を使用する。眉毛は剃らない。
 
5.             爪部
6-0程度の細い針付きナイロン糸で縫合し、爪はシーネとして元にもどす。
 
 
 
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