以下に心電図を示したA~Dの4症例はいずれも60~76歳の女性で、それぞれ強い精神的衝撃(事故、災害、肉親の死など)を受けたあと、胸痛と呼吸困難を主訴に救急搬送された。4例とも急性循環不全を呈し、うち2例はカテコラミンに反応しない低血圧でIABPを必要としたが、いずれも数日の経過で心機能はほぼ正常に復した。図は搬入後約24時間後に施行された心電図所見である。
これらの症例の病態で認められる検査所見で正しいのはどれか。
a. D-ダイマーの上昇
b. トロポニンIの著しい高値
c. 心エコーで心嚢液貯留
d. 左冠動脈前下行枝の有意狭窄
e. 左室造影で心尖部のakinesis
【 正解 】 e
これらの症例の病態で認められる検査所見で正しいのはどれか。
a. D-ダイマーの上昇
b. トロポニンIの著しい高値
c. 心エコーで心嚢液貯留
d. 左冠動脈前下行枝の有意狭窄
e. 左室造影で心尖部のakinesis
【 正解 】 e
たこつぼ型心筋症 Takotsubo cardiomyopathy
・急性心筋梗塞に類似した胸痛と心電図所見を有しながら、それに伴う左心室の壁運動異常が1つの冠動脈支配領域を超えて広く存在し、かつ冠動脈には有意狭窄を認めないのが特徴である。
・左室造影では心尖部を中心とした広範囲な収縮低下と、それを代償する心基部の過収縮を示し、収縮終期の左室形態があたかもタコツボを思わせる形をしている。
・壁運動異常は数日~数週間後には正常化する事が多い。
・異常Q波の出現やCPKの上昇はないか、あっても軽度にとどまる。
【心電図の特徴】
① 急性期にAMIを思わせるST上昇を示す。ST上昇はV1~3よりV4~6に強い。
② 対側誘導のST下降が少ない。
③ 経時的にT波が陰転化し、ときに巨大陰性T波となり、QT延長を示す。
④ 異常Q波の出現は少なく、心電図所見も回復する事が多い。
・くも膜下出血などの急性脳血管障害時や褐色細胞腫(カテコラミン過剰分泌)、急性心筋炎、交感神経の過剰興奮で起こる。
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