平成１７年度 問題１４

開胸心マッサージの手技で正しいのはどれか。
a.　左第４または第５肋間の前側方開胸で行う。
b.　肋間筋を肋骨下縁に沿って切開する。
c.　心嚢は脊柱と垂直面で切開する。
d.　両側の肺門部を遮断する。
e.　心臓マッサージは換気に同期させる。

【　正解　】　a

a.       左第４または第５肋間前側方開胸で行う。左上肢を挙上させる。

目安としては、男性＝乳頭下２横指、女性＝乳房下縁

肋間筋および壁側胸膜の切開の際には、左手の示指を挿入して肺を損傷しないようにする。

b.       肋間筋を肋骨上縁に沿って切開する。

c.        心嚢は脊柱と平行面で切開する。

【心膜切開】心タンポナーデや心損傷にて、横隔神経を損傷しないように、その前方で縦切開する。

d.       片側の肺門部を遮断する。

【肺門部遮断】肺破裂や気管支断裂にて、左肺を後方によけるようにして、前方より肺動脈・肺静脈・気管支をひとまとめにサティンスキー鉗子にて遮断する。

e.        心臓マッサージは、換気に同期させる必要はない。動脈圧のみを選択的に上昇させるため。

 

・心停止してから開胸するのではなく、心停止が切迫している段階で決断する。

・閉胸式心マッサージは、正常時の心拍出量の約25％、脳・冠血流の約10～20％を得られる。

 

開胸心マッサージの適応

①     救命可能な胸腹部および骨盤外傷による心停止。搬送中あるいはERにて心停止。

②     破裂性胸腹部大動脈瘤による目前心停止。

③     AMIによる心破裂による目前心停止。

④     偶発性低体温症による心停止。

 

救急室開胸（ERT）

手洗い不要。術野の消毒は行う。

胸骨左縁～中腋窩線まで円弧状に切開を加える。

止血操作は不要。

胸部大動脈の遮断は30分を目安とする。

体内式除細動では、通常の体外式の１０分の１のエネルギー、すなわち0.5J/kgで行う。

20～30分続けると心筋の表面温度が低下するため、40℃の生食で加温する。